
令和元年を迎え、私が最初に聴いた曲・・・それはもちろん「いとしのレイラ(Layla)」です。
「ダジャレかよ!」というツッコミはともかく、元号が令和に決まって以来、「いとしのレイラ(Layla)」が話題に上ることが増えましたね。
私も何年か振りに聴き直しましたが、やはりロックの名曲中の名曲です。
エリック・クラプトンの痺れるようなギターのリフと渋い歌声、デュアン・オールマンの泣かせるスライドギター。
前半のロックの曲調とは打って変わって、美しく奏でられる後半のピアノパート。
いま聴いても色あせることのない感動的な曲です。
この記事では、曲の誕生秘話など「いとしのレイラ」にまつわるエピソード、歌詞の意味や背景を解説します。
また、エリック・クラプトンに関するトピックスも紹介します。
この記事を読めば、「いとしのレイラ」に込められたエリック・クラプトンの切ない恋心が理解できるようになりますよ。
《この記事の主な対象》
- 「いとしのレイラ(Layla)」の歌詞の意味や誕生秘話を知りたい人
- エリック・クラプトンが好きな人
- 洋楽で英語を楽しく学びたい人
「いとしのレイラ(Layla)」の誕生秘話
「いとしのレイラ(Layla)」が初めて収録されたのは、1971年に発売されたデレク・アンド・ザ・ドミノスのアルバム「いとしのレイラ(Layla and Other Assorted Love Songs)」でした。
いとしのレイラ(デラックス・エディション)/デレク・アンド・ザ・ドミノス
作詞・作曲はエリック・クラプトンとジム・ゴードンで、デレク・アンド・ザ・ドミノスは二人が在籍していたロック・バンドです。
実は、この曲はエリック・クラプトンがある女性に捧げたラブソングです。
その女性の名は、パティ・ボイド。
この曲が創られた当時、パティ・ボイドは別の男性と結婚していました。
その男性とは、ビートルのメンバーだったジョージ・ハリスンです。
エリック・クラプトンとジョージ・ハリソンは親友でした。
つまり、「いとしのレイラ」は、親友の妻に対する恋慕の気持ちを歌ったものなのです。
この許されない愛を、ペルシャの美しい女性ライラと青年マンジュンの悲恋の物語になぞらえてつづったのが「いとしのレイラ」でした。
その後、1997年にジョージ・ハリスンとパティ・ボイドは離婚し、1979年にエリック・クラプトンとパティ・ボイドは結婚します。
二人の愛の絶頂期に、エリック・クラプトンは彼の代表的なラブバラード「ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)」をパティ・ボイドに贈っています。
「ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)」は、アルバム「スローハンド」に収録されています。
スローハンド35thアニヴァーサリー<デラックス・エディション> /エリック・クラプトン
エリック・クラプトンが後世に残る2つの名曲を生み出すことができたのは、パティ・ボイドという美しい女性のおかげだったわけですね。
しかし、エリック・クラプトンとパティ・ボイドは1988年に離婚しています。
エリック・クラプトンは、その心の痛手をアルバム「Journeyman」に収録した「オールド・ラブ(Old Love)」という曲にしています。
「いとしのレイラ」は、その後、エリック・クラプトンの代表曲の一つとして、アンプラグド・ライブなどでも演奏され、ベスト・アルバムにも収録されています。
アンプラグド~アコ-スティック・クラプトン DELUXE /エリック・クラプトン
「いとしのレイラ(Layla)」の曲の構成と歌詞の意味解説
「いとしのレイラ」は親友の妻に横恋慕する気持ちが込められた曲ということを理解して聴くと、リアルな情景が浮かんできます。
「I」はエリック・クラプトン、「you」はパティ・ボイド、そして「your old man」はジョージ・ハリスンのことを指しています。
印象的なギターリフのイントロの後にAメロが始まります。
What will you do when you get lonely?
No one is waiting by your side
You’ve been running, hiding much too long
You know it’s just your foolish pride
Layla by CLAPTON ERIC PATRICK/GORDON JAMES BECK
「寂しくなったとき君は何をするの?
誰も君の側で待っていないよ
君はずいぶん長い間逃げ隠れしているんだね
ねぇ、そんなのただの君のばかげたプライドだよ」
パティ・ボイドは、自尊心からジョージ・ハリスンの気持ちが自分から離れてしまっていることを認めたくなかったようです。
そんな彼女に対して、エリック・クラプトンが「プライドを捨てて事実を認めなよ」と言ったわけですね。
サビに入ります。
Layla, you got me on my knees
Layla, I’m begging, darling, please
Layla, darling, won’t you ease my worried mind?
Layla by CLAPTON ERIC PATRICK/GORDON JAMES BECK
「レイラ、君は僕を跪かせる
愛しい人よ、どうかお願いだ
僕の不安な気持ちを和らげてくれないか」
跪いて懇願するなんて、エリック・クラプトンは、パティ・ボイドに相当恋焦がれていたようですね。
続いてBメロです。
I tried to give you consolation
When your old man let you down
Like a fool I fell in love with you
You turned my whole world upside down
Layla by CLAPTON ERIC PATRICK/GORDON JAMES BECK
「僕は君を慰めようとしたんだ
昔の男が君を落ち込ませたときにね
愚か者のように僕は君に恋したんだ
君は僕のすべての世界をひっくり返したんだよ」
エリック・クラプトンは、パティ・ボイドを慰めようとしているうちに恋しちゃったんですね。
再びサビの後はCメロです。
Make the best of the situation
Before I finally go insane
Please don’t say we’ll never find a way
Or tell me all my love’s in vain
Layla by CLAPTON ERIC PATRICK/GORDON JAMES BECK
「最善の状況をつくろうよ
僕が狂ってしまう前にね
どうか僕たちの道は見つからないなんて言わないでよ
僕の愛が無駄だなんて言わないでくれよ」
許されない愛に対するエリック・クラプトンの切ない思いが心に沁み込みます。
サビを繰り返して、スライドギターソロが続いた後、印象的なピアノのパートが始まります。
美しいピアノのメロディとすさび泣くようなスライドギターが感動的ですね。
エリック・クラプトンに関するトピックス
エリック・クラプトンのドキュメンタリー「エリック・クラプトン~12小節の人生」のブルーレイ/DVDが2019年6月19日に発売になる予定で、予約受付中です。
「ギターの神様」と称えられ、数々の名曲を世に送り出したエリック・クラプトン。
グラミー賞の受賞、ロックの殿堂入りなど、多くの名声と栄誉を手にしてきました。
しかし、実はその陰では、苦悩と悲哀に満ちた人生を送っていたのです。
「いとしのレイラ」の誕生秘話で紹介したパティ・ボイドとの別れの原因は、女性遍歴とドラッグ、アルコールに溺れた日々でした。
また、エリック・クラプトンの代表曲として人気の高い「ティアーズ・イン・ヘヴン」誕生の裏側にあったのは、最愛の息子の死でした。
そんなエリック・クラプトンの生き様を自らが赤裸々に語るドキュメンタリーがこの作品です。
音楽に対する情熱の裏側にあったエリック・クラプトンの壮絶な人生を目撃しましょう!