英語を習得するたった1つの方法~私はこれでTOEIC900点取りました!

効果的な英語学習法があるとしたら、誰しも知りたいと思うのではないでしょうか?

「言語を習得するたった1つの方法」を提唱した人がいます。

その人の名は、スティーヴン・クラッシェン(Stephen Krashen)。南カリフォルニア大学の名誉教授です。

現在の第二言語習得理論の礎を築いた言語学者・教育学者として知られており、その後の言語学研究に大きな影響を与えた人物です。

今回は、彼の理論に基づいた「英語を習得するたった1つの方法」を解説します。

「なんだか難しそうな話だな」と思った人も心配ご無用。

堅苦しい話はほどほどに、英語を効果的に学ぶための大切なポイントをわかりやすく説明します。

また、この方法を使った英語学習法を具体的に紹介します。

私は、この方法を実践して、TOEIC400点台から900点台までスコアを伸ばし、リスニング満点を取ることができました。

効果は実証済みです。

あなたも「英語を学ぶ唯一の方法」を取り入れて、英語力を向上させてください。

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「英語を学ぶ唯一の方法」とは?

クラッシェン博士が提唱した「言語を習得するたった1つの方法」は、Comprehensible Inputという仮説です。

出た、横文字、しかもムズイ・・・

大丈夫、これからわかりやすく説明します。

Comprehensible Inputとは、「理解可能なインプット」という意味です。

私たちは、「メッセージを理解するときだけ言語を習得する」ということです。

クラッシェン博士は、言語の学習者は現在のレベルより、少しだけ高いレベルの言語を理解したときに進歩すると主張しています。

そして、このレベルを「i+1」と呼んでいます。

現在の言語習得のレベルを「i」とすると、「+1」が次のレベルとの差です。

この「+1」を理解できたら、その分だけ今よりレベルが上がることになります。

「理解可能なインプット」を平たく言うと、「やさしく、たくさん」です。

「やさしく、たくさん」は、元ジャパンタイムズ編集局長で、NHKラジオ英語講座の講師としても活躍されている伊藤サムさんが提唱された英語学習法です。

伊藤サムさんは、「やさしく、たくさん」を次のように定義しています。

(超)やさしい英語をたくさん(あるいは繰り返し)聞いたり読んだり(話したり書いたり)し、だんだんレベルを上げていくことです。「やさしい」とは「未知の単語がほとんどなく、あっても文中から類推でき辞書をほとんど引く必要がない程度、日本語に訳さずに理解できる程度」のこと。

伊藤サムさんのHP「やさしくたくさん」より

まさに、「理解可能なインプット」や「i+1」を端的に表した定義になっています。

それもそのはず。伊藤サムさんご本人が、「やさしく、たくさん」学習法は、クラッシェン博士の第二言語習得理論であるComprehensible Input(理解可能なインプット)をベースにしている、と明言されています。

やさしい教材を使えば、同じ学習時間でも何倍もの量の英語に接することができます。

やさしくても、英語は英語です。脳に伝わる刺激は強烈なので、着実に英語力がついていきます。

このように「やさしく、たくさん」の基本原理はシンプル、かつパワフルです。

英語をやさしく、たくさん聴いて読み、脳にインプットする。

英語を話すとき・書くときも、やさしいものをたくさん、あるいは繰り返しアウトプットする。

それによって、「英語で考える」状態、いわゆる「英語脳」になっていきます。

それに対して、従来型の英語を訳していく学習は「難しく少し」と言えます。

このやり方では、訳すのはうまくなっても、「英語で考える」力はつきません。

「日本人は10年以上学校で英語を勉強しても英語ができない」とよく言われます。

しかし、それは至極当然のことです。なぜなら、英語に接する時間や量が圧倒的に不足しているからです。

1時間かけて1ページ200文字の英文を和訳しても、頭の中で日本語で考えているので、英語を日本語脳で理解しています。

辞書を使って訳すことはできるので、英語を理解できたと錯覚してしまいますが、英語を英語のまま理解できたわけではありません。

一方、「やさしく、たくさん」なら1時間に10ページでも読むことができます。

やさしい英語なら訳さずに、英語を英語のまま理解することができます。

知らない単語があっても、前後の文脈から「こんな意味かな」と推測することも可能です。

単語の意味を文中から感覚的に、概念的につかみ取るので、理解できた単語が増えるにしたがってレベルが上がっていきます。
やさしいから辞書を使う必要もなく、英語に接する量が飛躍的に増えます。

私が「英語で考える」ことができるようになったのは、学校の英語の勉強ではなく、「やさしく、たくさん」のおかげです。

むしろ、学校の勉強は、私に「英語は苦手」という意識を植え付けました。

学校の勉強のせいで、「英語嫌い」になった人も多いのではないでしょうか?

そんな人にこそ、「やさしく、たくさん」をおすすめします。

「やさしく、たくさん」で本当に英語力が高まるの?

「難しく少し」で英語を学習してきた人は、「やさしく、たくさん」で本当に英語力が高まるのか不安に思うかもしれません。

そこで、「やさしく、たくさん」を実践して、語学力を伸ばした実例を2つ紹介します。

小学6年生でTOEIC980点取った藤田くららさん

私が知っている中で、最も凄いと思ったのは、小学6年生でTOEIC980点取った藤田紅良々(くらら)さんです。

くららさんは、英語の本が好きで、ハリーポッターなどの小説を読むのが趣味になったそうです。

ちなみに、彼女がTOEIC980点を取るまでに読んだ英語の本は、なんと約1万冊だそうです。

彼女は英語の読書を勉強のために無理してやっているのではなく、趣味として楽しんでいます。

つまり、彼女の英語力が伸びたのは、英語を勉強したからではなく、小説にのめり込んで「英語の本を読みまくった」結果なのです。

クラッシェン博士は、free voluntary reading(自発的自由読書)を「最も強力な言語習得方法」として推奨しています。

くららさんは、その最たる例と言えます。

彼女は、テレビのインタビューで、「たぶん辞書は引いたことがないと思います。同じシーンで同じ単語が出ると人が言ってる感情とかで、たぶんこれはこういう意味なんだなみたいな」と答えています。

まさに、「やさしく、たくさん」を体現していますね。

私がTOEIC900点をめざしていたころ、「彼女のようにやさしく、たくさんを実践してTOEICで高得点を取りたい」と目標にしていました。

ある意味、彼女は私の良きライバルでした。

彼女に刺激を受け、「自分も頑張るぞ」とやる気が湧いてきました。

彼女の足元にも及びませんが、私もTOEIC910点、リスニング満点を取ることができたので感謝しています。

その後、くららさんは、中学1年生のときに、学校の体育の授業中の事故により、脳脊髄液減少症を発症し、現在も闘病生活されています。

だから、くららさんに勇気をもらったおかげで、励まされた人間がいることを伝えたいです。

直接お会いしたことはありませんが、私はくららさんのことを尊敬しています。

今でも、くららさんは私の憧れの存在です。

ご快復されることを心から願っています。

20カ国語を習得した多言語話者スティーブ・カウフマンさん

スティーブ・カウフマン(Steve Kaufmann)さんは、スウェーデン生まれのカナダ人です。

20カ国語以上を習得したpolyglot(多言語話者)として、世界的に有名です。

言語学習について、スティーブさんは次のように語っています。

The best way to learn a language is to massively ingest it, by listening and reading. Listening and reading are so powerful. If you can read the books, you know the language.
言語を学ぶ最良の方法は、聴くことと読むことによって、それを大量に摂取することです。聴くことと読むことはとても強力です。本を読むことができれば、あなたはその言語を知っています。 

—Kaufmann on language learning

スティーブさんの母語は英語ですが、フランス語を皮切りに中国語、日本語など50年以上にわたって多言語を学んでいます。

クラッシェン博士のComprehensible Input(理解可能なインプット)は、英語に限らず、言語全般に共通する習得方法だということを実証していますね。

スティーブさんは、新しい言語を学ぶための秘訣として、次の7つを上げています。

【7 secrets to learn any new language】

  1. Spend the time(時間をかける)
  2. Do what you like to do(自分が好きなことをする)
  3. Learn to notice(気づきを得る)
  4. Words over grammar(文法よりも言葉)
  5. Be patient(忍耐強く)
  6. Get the tools(道具を手に入れる)
  7. Become an independent learner(自立した学習者になる)

こうしてみると、藤田くららさんのケースとも共通していますね。

私は、この7つを指針にして、英語学習しています。

「道具を手に入れる」に関して、スティーブさんは自分自身の言語学習の経験やノウハウを活かした言語学習アプリ「LingQ」の共同創立者です。

「LingQ」では、レベル別にたくさんの教材、記事、小説などを英語で読んだり、聴いたりすることができます。

しかも、YouTubeやNetflixの動画、音声、スクリプトをダウンロードして英語学習に利用することもできちゃいます。

「やさしく、たくさん」学習法で英語を習得するための最強のツールの1つですね。

私は、このアプリを使って26,000語以上の英単語を自然に覚えることができました。

今の時代、スマホさえあれば、英語学習するための道具がいろいろと使えます。

本当に便利な世の中になったものです。

あなたも「やさしく、たくさん」を実践して、効果的に英語を習得してください。

「やさしく、たくさん」英語を学ぶには?

「やさしく、たくさん」が効果的なことはわかったけど、具体的にどうしたらいいの?

その疑問にお答えします。

やさしく、たくさん「読む」

1つ目は、やさしく、たくさん「読む」です。

いわゆる「多読」と呼ばれる英語学習法です。

私は、「多読」からやり直し英語を始めました。

最初は、絵本から始めて、Graded Readers(グレーデッド・リーダーズ)という英語学習者向けに作られたレベル別の本を読み、しだいにレベルを上げていきました。

ある程度自信がついてから、児童書やヤングアダルト向けの小説を読むようになり、そしてついに大人向けのペーパーバックが読めるようになりました。

ペーパーバックも、初めはシドニー・シェルダン(Sidney Sheldon)やニコラス・スパークス(Nicholas Sparks)といった読みやすいと評判の高いベストセラー小説を読み、だんだんと難易度の高いものに挑戦しました。

その後、英字新聞や英語の雑誌なども読むようになりました。

今では、専門書などの難解な本や記事以外であれば、ある程度楽しく英語で読書できるようになりました。

私は、「多読」によって「英語を英語で理解する」ための基礎をつくることができました。

これから英語の多読を始める人や多読初心者の人は、次の「多読新三原則」を参考にすると挫折しにくいと思います。

 <その1> 英語は英語のまま理解する
 <その2> 7~9割の理解度で読む
 <その3> つまらなければあとまわし

何よりも「自分の興味のあるもの」「自分がおもしろいと思えるもの」を読むのが、長続きするコツですよ。

やさしく、たくさん「聴く」

2つ目は、やさしく、たくさん「聴く」です。

「多読」に対して、こちらは「多聴」と呼ばれます。

私が多読を始めたころは、「多聴」という言葉はありませんでした。

当時は、まだ英語を大量に聴くことができるものが少なかったからだと思います。

今では、定番のNHKラジオ英語講座をはじめ、オーディオブック、ポッドキャストなど簡単に英語音声を聴くことができるようになりました。

洋楽を使った英語学習も根強い人気がありますね。

私は、TOEIC初受検のとき200点台だったリスニングのスコアを最終的には満点の495点を取れるまで伸ばすことができました。

そのために効果があったのは、次の3つです。

  1. 発音
  2. 多聴
  3. シャドーイング

「1.発音」に関しては、やり直し英語の初期の段階で「英語耳」などを使って学習しました。

ネイティブのように発音できる必要はありませんが、特にリエゾンと呼ばれる音の変化がわからないと、英語を聞き取ることはできません。

リンキング(音の連結)、リダクション(音の脱落)、アシミレーション(音の同化)などについては、早めに学んでおいたほうがその後の伸びが速いと思います。

「2.多聴」に関して、私はNHKラジオ英語講座の「基礎英語」から始めて、しだいにレベルを上げていき、最終的には最難関の「実践ビジネス英語」を楽しめるようになりました。

また、好きなオーディオブックやポッドキャストを聴きまくりました。

ここでもポイントは、段階的にレベルを上げながら、興味を持てるものを聴くということですね。

「3.シャドーイング」は、TOEICリスニング満点を取るために最も効果があったと思います。

シャドーイングは、音声を聴きながら、それを真似して発音するトレーニング法です。

聞こえてくる英文のすぐ後ろを、影のように追いかけて発音するのがポイントです。

難易度の高いトレーニング法なので最初はうまくできませんでしたが、ポイントをしっかり押さえて繰り返し練習することで、英語力が確実に上達しました。

やさしく、たくさん「観る」

3つ目は、やさしく、たくさん「観る」です。

YouTubeや映画、海外ドラマなどを視聴するということですね。

YouTubeには英語学習チャンネルや英語で発信されるさまざまな動画が数多くあるので、活用しない手はありません。

また、Netflix、Hulu、アマゾンプライム、ディズニープラスなどの動画配信サービスを利用するのが当たり前になった現在では、好きな映画や海外ドラマを使って英語学習できる環境が整っています。

やさしく、たくさん「観る」は、英語学習法として、今や主流になってきています。

映画や海外ドラマを使った効果的な英語学習法としてオススメなのが「4回視聴法」です。

これは私が利用している英会話カフェLanCulのメイトが教えてくれた学習法です。

具体的な流れは、次の通りです。

  1. 英語音声・字幕なし
  2. 英語音声・日本語字幕
  3. 英語音声・英語字幕
  4. 英語音声・字幕なし

1回目は、「字幕なし」で観てどれくらい理解できるかをチェックします。

2回目は、「日本語字幕」で観て内容を理解します。純粋にストーリーを楽しんでください。

3回目は、「英語字幕」で観て英語で何と言っているかを理解します。

4回目は、再び「字幕なし」で観て1回目と比較してどれくらい理解度が上がったか確認します。

実際にやってみたら、効果てきめんでした。

人気ドラマ「フレンズ」を観たとき、1回目は50%以下の理解度だったのが、4回目は80~90%以上理解できるようになっていました。

挫折しないためのコツは、段階的にレベルを上げながら、好きな映画や海外ドラマを観るということですね。

まとめ

今回は、「英語を習得するたった1つの方法」として、「Comprehensible Input(理解可能なインプット)」、そして「やさしく、たくさん」学習法を紹介しました。

英語習得には時間がかかります。

途中で息切れしてつまづかないようにするためには、自分が理解できるレベル+αの英語の難易度で、「興味のあるもの」「好きなもの」をたくさん「読む」「聴く」「観る」ことが大切です。

「やさしく、たくさん」にオススメの本、音楽、映画や海外ドラマについては、別の記事で紹介するので参考にしてくださいね。

【このブログをわかりやすいYouTube動画にしました!】