単語帳を使った英検1級語彙対策に挫折した人におすすめの学習法

≪この記事の対象≫

  • 英検1級合格をめざしている人
  • 英検準1級合格をめざしている人
  • 英語力を伸ばすためのおすすめの学習法や教材を知りたい人
  • がんばっている人を応援するのが好きな人
  • テレビや本の”実録もの”が好きな人
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単語帳を使ったボキャビルに挫折した人におすすめの英単語学習法

英検1級合格に必要な語彙数は、最低でも10,000語以上、理想を言えば12,000語~15,000語は必要と言われています。特に、筆記のパート1語彙問題はハンパなく難しいです。そのため、ボキャブラリー・ビルディング(ボキャビル)は必須です。

英検1級語彙対策の定番は旺文社の『英検1級でる順パス単』で、ほかにもアルクの『キクタン英検1級』やジャパンタイムズの『出る順で最短合格! 英検1級 語彙問題完全制覇』、イッチーこと植田一三先生の『英検1級英単語大特訓』などが有名です。私もすべて持っています。

しか~し、すべて挫折しました。『英検1級でる順パス単』は何周か回したものの、ほかの単語帳は途中棄権しました。トホホ。

でも、これって「英単語学習あるある」ですよね! 

私の場合、これが重症で「何度覚えてもすぐに忘れる」ということを繰り返してしまうのに耐えられず、しまいには無理やり英単語を覚えようとすると頭痛や吐き気がしてきて、学習を続けられないという症状まで出てしまいました。

このままでは英単語を覚えられない・・・

そんな私が、英検準1級合格に必要とされている7,000~8,000語の英単語を覚え、英検1級合格に必要な10,000語以上の語彙力をつけるためにやっている3つの英単語学習法を紹介します。

  1. 文脈型単語帳『文で覚える単熟語(文単)』『速読速聴・英単語』を使った英単語学習法
  2. 多言語学習WEBサイト&アプリ『LingQ』を使った英単語学習法
  3. アルクの『英辞郎 on the WEB』と「標準語彙水準SVL12000」を使った英単語学習法

一般的な単語帳を使った英単語学習、ボキャビルに挫折した人には特におすすめです。

※前述の単語帳がダメだとか、悪いという意味ではなく、私には合っていなかっただけです。その点、誤解なきようお願いします。

文脈型単語帳『文単』『速読速聴』を使った一石五鳥の英単語学習法

最初は、文脈型単語帳を使った英単語学習です。文脈型単語帳は、左に英単語、右に日本語の意味、次のページに例文が載っているような一般的な単語帳とは違い、文脈の中でターゲットとなる英単語や英熟語を覚えていくタイプの単語帳です。

たとえば、私が英検1級語彙対策として使っている『英検1級 文で覚える単熟語(文単)』は、基本的には左ページに英文、右ページに日本語訳が載っていて、次のページに英単語とその意味や品詞などがリストアップされています。

文脈型単語帳を使った英単語学習の手順は、次の通りです。

 1.付属のCDを使って英文の音声を聴く
 2.英文を読む
 3.日本語訳を読む
 4.英単語のリストで意味と品詞を確認する
 5.付属のCDの音声を聴きながら同時に英文を黙読する
 6.付属のCDの音声を聴きながら同時に英文を音読する
 7.シャドーイングする

ポイントは、3と4のステップで、英文と英単語の意味をしっかり理解することです。

この方法では、一つの素材を使って、多読・多聴と精読・精聴を組み合わせて学習するので、語彙力増強はもちろん、リーディング力とリスニング力も高めることができます。 英単語、英熟語、英文解釈、長文読解、リスニング力を同時に高めることができる一石五鳥の英語学習法です。

『英検1級 文で覚える単熟語(文単)』には、「歴史・文化」「社会・経済」「科学・技術」「環境・食糧」「医学・心理」という5つのテーマごとに、それぞれ14~17の英文が掲載されています。いずれも興味深い内容なので、多読・多聴感覚で、楽しみながら自然とボキャビルすることができます。

『英検1級 文で覚える単熟語(文単)』に掲載されている英単語・英熟語を全部覚えたら、筆記パート2の空欄補充問題とパート3の長文読解については、文脈の中での意味の推測といったテクニックや語源の知識なども駆使すれば、単語の意味がわからなくて解答できない、という事態は最小限に抑えられそうです。

しかし、筆記パート1の語彙問題対策としては不十分なので、それを補完するために『速読速聴・英単語 Advanced 1100』を併用しますが、やり方は同じです。

多読多聴しながら自然に英単語を覚えられる必須アイテム『LingQ』

2つ目は『LingQ』を使った学習法です。『LingQ』は、WEBサイトでもアプリでも利用できる多言語学習用のサービス、ツールです。

『LingQ』には、Co-FounderのSteve Kaufmannさんが16カ国語を習得した自身の経験をふまえて開発にかかわっているので、多言語学習に役立つ便利な機能がいろいろと備わっています。

たとえば、『LingQ』で初めて出会った単語は青色に網掛けされています。その単語を「知らない単語」として登録すると、網掛けの色が黄色に変わります。「知っている単語」として登録すると網掛けが消えます。もしくは、そのまま何もせずに次のページに進むと網掛けが消えます。つまり、網掛けされていない単語は「知っている単語」ということになります。

『LingQ』には「知っている単語」の数を自動計算して累積数字を表示する機能がついているのですが、私が「知っている単語」の数は25,000語を超えました。

しかしながら、『LingQ』の「知っている単語」の数と一般的な語彙数の数え方は違うようなので、すでに英検1級合格に必要な語彙数10,000~15,000語を超えているのかどうかは正確にはわかりません。

『LingQ』では、「知っている単語」の数によって、初級1、初級2、中級1、中級2、上級1、上級2の6段階に難易度がレベル分けされています。

以前、『LingQ』のCo-Founder Mark Kaufmannさん(Steve Kaufmannさんの息子さん)に、このレベル分けはCEFR(セファール:ヨーロッパ言語参照枠)と対応しているのか直接質問したことがあるのですが、「対応させています」という趣旨の回答をいただきました。したがって、『LingQ』の上級1がCEFRのC1(英検1級レベル)に相当します。

25,000語は上級1の範囲に入っているので、「知っている単語」の数としては英検1級レベルに届いているようです。もちろん、それで合格が保証されるわけではありませんが自信にはなります。

30,250語で上級2(CEFRのC2レベル)に到達するようなので、次の目標としてはそれを超えられるように「知っている単語」をさらに積み上げたいと思います。

英検1級のCan-doリストに「英語の雑誌の記事を理解できること」という項目があるように、 『TIME』や『The Economist』『The Wall Street Journal』などの洋雑誌には、英検1級レベルの単語がたくさん使われています。

インポート機能を使えば、これらの雑誌のWEBサイトからニュースや記事をインポートして『LingQ』で読むことができるので、文脈型単語帳の学習と並行すれば、英検1級レベルの語彙を増やすことができると思います。

アルクの『英辞郎』とSVLを使った効果的な英単語学習法

最後は、アルクの『英辞郎 on the WEB』と「標準語彙水準SVL12000」を使った英単語学習法です。これは、英単語の「振り返り学習」として行います。

『英辞郎 on the WEB』はアルクのWEB辞書ですが、アプリでも利用できます。

『英辞郎 on the WEB』は無料で、会員登録しなくても利用できますが、単語帳などの機能は使えません。会員登録すれば、100語まで単語帳に登録できるようになります。会員登録は無料です。有料会員になると、単語帳に登録できる単語数が20,000語に増えます。月額300円、年額だと3,000円です(2018年11月現在)。

「標準語彙水準SVL12000」は、アルクが重要英単語12,000語を基礎から上級まで12のレベルに区分した段階別学習語彙リストです。SVLは、Standard Vocabulary Listの略です。

文脈型単語帳と『LingQ』を使った英単語学習で、単語の意味までは理解できるのに、なぜさらに『英辞郎 on the WEB』を使うのか。それは、「覚えるべき単語の優先順位をつけるため」と「単語の定着率を上げるため」です。

『英辞郎 on the WEB』には、それぞれの単語のレベルが表示されています。そのレベルがSVLです。

具体的な学習方法は、次の通りです。

文脈型単語帳と『LIngQ』を使った学習で、意味がわからなかった英単語、覚えることができなかった英単語のSVLを『英辞郎 on the WEB』で調べます。

SVLが10以下なら10,000語レベル以下の単語ということになるので、英検1級合格のためには完全に覚える必要があります。SVLが12なら12,000語レベルの単語なので、できるだけ覚える必要があります。SVLがついていない単語は12,000語レベルを超えているので、覚えられたらラッキーくらいの感覚で、レベルに応じて単語を覚えるための労力の掛け方を変えることができます。

覚えたい単語を『英辞郎 on the WEB』の単語帳に登録しておけば、あとから復習することができるので便利です。また、次のようなリストを自分で作って、「振り返り学習」に使うこともできます。

英単語意味品詞レベル出会った場所
consummate~を完成する他動詞11英検1級文単

自分でリストを作成する場合は、英単語の意味だけでなく、品詞とSVLのレベルを記載するのがポイントです。

英語を学ぶうえで、品詞と文型の理解はとても重要です。名詞、動詞、形容詞、副詞という四大品詞の役割がわかると、TOEICの文法問題が解きやすくなるし、英文解釈もしやすくなります。

特に、動詞については、自動詞と他動詞を区別しておくと、文型、不定詞、分詞、関係詞など英文法でもつまずきやすいポイントが理解しやすくなります。

英語の文型というと5文型が有名ですが、大きくわけると自動詞がとる文の型と他動詞がとる文の型の2パターン(目的語をとるか、とらないか)だけです。さらに、自動詞がとる文型を2つ、他動詞がとる文型を3つに分類したものが5文型ということになります。なので、自動詞と他動詞の特徴の違いを把握しておくと、英語の理解力がぐ~んと上がります。

とかく悪者扱いされがちな英文法ですが、実は英語のルールをパターン化したものなので、英文法を理解すると効率よく英語を学ぶことができるようになるし、とても便利なツール(道具)です。注意すべきなのは、英文法学習を目的にするのではなく、英語の理解力と発信力を高めるための手段として上手に活用することだと思います。

英単語の意味は、コア(中心)になるイメージを1つだけに絞って書くのがよいと思います。例としてあげた”consummate”の意味は、『英検1級 文で覚える単熟語(文単)』では「を完成する、を達成する」となっています。一方、『英辞郎 on the WEB』には、「~を完結させる、~を完了させる、実現する、達成する」などたくさんの意味が載っています。

これらの意味をみて、「うわ~、こんなにいっぱい覚えなくちゃいけないの?」とへこむかもしれませんが、「英単語の意味を理解する=訳語を覚える」ではありません。そもそも英単語の意味を1対1で日本語の意味と対応させることは無理です。

文脈によっても意味合いが変わってくるし、”consummate”の例のように、それこそいろいろな訳し方が可能です。大切なのは、その英単語のコア(中心)となるイメージをつかむことなので、いろいろと書いてある訳語の中で、自分が一番しっくりくるものを選んだり、「いろいろ書いてあるけど、結局こういうことじゃないの?」という感覚で、自分がわかりやすい表現や覚えやすい言葉にして書くのがおすすめです。

それから、その単語と出会った場所をメモしておくと、「ああ、この単語とは確かあそこで出会ったなぁ」という感じで記憶がよみがえりやすくなって、その結果、単語の意味も思い出しやすく、覚えやすくなりますよ。

We can work it out!